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懐かしい再会

春に芽吹いた命は、夏の太陽をたくさん浴びて栄養を貯めています。実りの秋に向けて今それぞれの命の中では全てが昇華される季節。一年の中でも最も強いエネルギーが降り注ぐ時を迎えています。

早いもので立秋を迎えましたがお元気でお過ごしでしょうか。

 

新年を迎えた時には想像すらしていなかった事が一気に起こり世界を変えています。

国単位でも、個人単位でもそれぞれ新しい世界にシフトをしてゆかなければならなくなり、その調整のためには多くのエネルギーが必要となっているのだと思います。

何かを変えようと思う時、変えなければならないものは何なのか、なぜ変える必要があるのかを突き詰めてゆくと、そこにあるのは自分自身と対峙することなのかもしれません。外からの要因があって変わることを余儀なくされたのだとしても、それは自分自身が敢えて触れようとしなかった問題とリンクしていることもあります。

 

この半年、自分の周りに起こる様々なドラマを少し離れた場所から全体を見ている自分がいました。

 

仕事上であったり、友人であったり、家族であったり…いくつものショッキングな出来事が続いたのですが、すべてが別の場所で起こっていることであったとしても、自分の中では全てが繋がっているように感じていました。それゆえに心身共に敏感になってしまいましたが、感情の渦に巻き込まれそうになった時、少し離れた場所から現在地を眺めるように意識をすることで少し楽になったような気がします。

年齢を重ねるたびに、たくさんの縁の中で自分は生かされて来たのだと感謝することが多くなってきましたが、その中で見聞きする出来事から湧き上がる感情というものは、直接的に自分に影響を与えるものなのでしょう。誰かに起こったことであっても、その中から自分にとっての学びに一つ一つが結びついているように改めて感じています。

 

ようやく、そうやって客観的に現在の自分と対峙することが出来るようになってきたかなと思えて来た今、ある1枚の絵との懐かしい再会が待っていました。

この絵はTrue Love という絵で、2004年に5枚のAngelの連作の中央にある絵だったのですが、(この絵の上下左右に長細い絵が4枚あり、壁一面の絵で1つの作品として展示したことがありました)ある施設に寄贈させていただいた1枚になります。その施設がこの春に閉鎖したとの事で、この絵が帰ってくることになったのです。

人生の分岐点にあった頃に描いたもので、様々な想いを込めた絵だったのですが、個展の最終日の搬出の際にその施設への寄贈を決めて個展のあったギャラリーから直送してしまった為、ポストカードにすらする事もなく小さな写真しか残っていなかったものでした。ですので16年振りの再会はただただとても懐かしく、この絵を描いていた頃の事を想い出しました。

 

自分の中で何かが静かに変わって行っているこの今、こうして16年前の作品が手元に戻って来て…その頃の自分が今の自分に必要なエネルギーを届けてくれたのだとそう感じています。

生きとし生けるもの全てが あたたかな光でいつまでも包まれていますように…


 (Anglesのコーナーに絵と、その絵の額の後ろに貼り付けてあった詩も掲載いたしました。)